2009年度は前年度比7.5倍の338億円、2011年度には1,171億円と急成長を予想!
最近、テレビをつけるとモバゲータウンやGREEの無料ゲームの宣伝をよく見かける。テレビで宣伝するということは、その会社が儲かっているからこそできることであり、それが急成長している「ソーシャルゲーム市場」の実情をリアルに現しているといえよう。
今回の矢野経済研究所調査は、ソーシャルゲーム市場の可能性を示唆していて、ゲームファンにとっても大変興味深い内容である。
ソーシャルゲーム市場まずはグラフを見て頂きたい。2008年度はだいたい45億円ほどだった市場が、2009年には338億円と急激に拡大している。前年度日7.5倍である。ソーシャルゲーム市場が成長分野であることは人目でわかるだろう。2011は1171億円という予想のようだが、この調査ではまだまだ成長が見込める分野ということになる。
携帯電話の普及により、性能が向上。今はスーパーファミコンのグラフィックなら、簡単に携帯ゲームで作れてしまう。iPhoneで大ヒットした「ケイオスリングス」などは、グラフィックは明らかにPSレベルに到達していた。
そもそもソーシャルゲーム市場というのはなんだろうか。
ソーシャルには、社会、社会的なという意味が最初に思いつくのだが、集合知という意味もある。多くのプレイヤーがそのサイトにアクセスしてゲームに参加するような仕組みである。またSNSなので、友人同士が連絡を取ったり、新しい知り合いを見つける出会いの場を提供したりする。
今の小学生や中学生は、こうしたSNSの会員になっていることがほとんどだとか耳にするが、これには疑問だ。ただ広まっていることは疑う余地のない事実である。
アクセスしても「無料」であるために手軽に楽しめる。CMでも毎回「無料」という言葉を良く耳にする。無料なのに、一体どこで収益を上げているのか。不思議に思わないだろうか。
それはオンラインゲームと同じ仕組みである,アバターやアイテム課金、着うた、デコメールなどである。ゲームをやるには無料だが、アバターという自分の分身におしゃれをさせたり、ゲーム中に有利なアイテム、珍しいアイテムを購入するのに課金が必要となる仕組みである。
しかも、携帯からなので、直ぐにアイテム課金が携帯会社を通して行われるという。そうした課金(代価がいること)を知らないまま、アイテムに何万円も使って、親が携帯の請求書を見て驚いたというニュースさえあるぐらいだ。
また、経済研究所はソーシャルゲーム市場が成功した原因を次のように述べている。
主流デバイスが携帯電話であることが、早期マネタイズ化が成功した要因
日本市場におけるSNS利用者の多くは携帯電話からアクセスしている。携帯電話の有料コンテンツ(モバイルゲーム、着うた、デコメールなど)を購入することにユーザーの抵抗が少なく、また通信キャリア課金の決済手段が整備されていることが、ソーシャルゲーム市場の早期マネタイズ化の成功につながり、市場の急拡大を後押ししている。
概ね同意見だが、そのために上のような高額請求が起きているという事実も指摘しておいた。こうしたことが起きないような整備をする必要はあるだろう。
主流のデバイスは据え置き機から携帯へこのような時代が来ることは携帯の便利さから予想されることではあったのだが、それが調査され、数値化されたことで、すでに時代は、据え置き機から携帯が主流のデバイスになることを示唆している。
日本でもiPad,iPhone4が発売され話題になった。そして、E3での任天堂3DSの発表で、E3は任天堂の話題でほぼ独占状態だと述べても決していいすぎではない。個々に話題なるゲームはあったが、ソニー、マイクロソフトなどのハードメーカーの発表よりも、断トツに「任天堂」が話題になっていたのは様々なゲームメディアの記事からすぐにわかることだ。
Point of view
このようにゲームをやるのは、携帯電話、もしくは、携帯ゲーム機というように移り変わっている。ただ、それはゲーム市場の急成長と衰退ということにも繋がるかもしれない。いきなり、相反することを述べたわけだが、順を追って説明したい。
確かに時間を潰すのに無料ゲームというのは最適である。
通信費は定額であるために、それ以上はお金は使わないでいいし、無料コンテンツだけやればお金もかからない。だが、それだと企業は儲からない。ゲームというのはただでできるプログラムではない。誰かがそれを開発して、GREEや、モバゲータウンなどの会社がゲームのプログラムを購入しているのだ。
もちろん、プログラムの代金を回収したり、サイトの運営費などを稼ぐ必要が出てくる。そのために、アバターやアイテム課金を利用する。ここまでは良い。
しかし、無料ゲームが増えすぎて、それがさらに質が向上していくとなれば話は別だ。今までオンラインゲームはパソコンの中だけのものだった。ところが今では携帯でも簡単に無料のオンラインゲームが遊べてしまう。こうなってくるとゲームは無料で遊ぶものだという意識が定着していく可能性がある。
ゲームを開発しているメーカーは、もちろん、携帯コンテンツの普及にも敏感であるために、最近は、スクエニ、カプコン、バンダイナムコゲームズなどの、大手のゲーム開発会社が携帯市場に力を入れ始めている。また「ぷよぷよ」などの過去の人気作品がソーシャルゲームで楽しめるというCMも見かけた。
面白いゲームが無料で楽しめて、さらにそれを共有する仲間がSNSで見つかる。同じ趣味同士なら気が合うし、話が弾むなどもある。だが、それは今までのゲームメーカーのビジネス形態を崩壊させてしまうことになりかねない。
マイナス要素ばかりを強調したが、良い面もある。
今まであまり脚光を浴びなかったゲームが再び、携帯で人気になれば、新しいビジネスチャンスを生むことだってある。市場が拡大にするにつれて、参入メーカーが増えれば、面白いゲームを作る会社が増える。
またソーシャルゲーム市場が急拡大成長なら、投資家が目をつけて、関連ゲーム株が買われるなどの経済的なメリットも色々ある。
メリットとデメリットもある。どちらに方に傾くのかはまだわからない。ただ一つだけ言えるのは、
ゲームを暇つぶしの道具と見るのか。趣味として捉えるかである。両者、それぞれに言い分があると思うので、これ以上は言及しないが、暇つぶしなら、飽きるのも早いだろう。
詳細ページ
[PR]