なぜ、スクエニの販売するゲームソフトは売れなくなったのか

スクエニといえば、日本のゲーム業界において、任天堂の次に当たるほどの有名な会社であるのは言うまでもないのだが、この度、発表されたスクウェアエニックスHDの2011年3月期第2四半期連結決算において、売上高は前年比25%減の680億5,600万円、営業利益が57億1,200万円で56%減、経常利益は35億2,000万円で71%減、純利益は17億2,300万円で36%減となっている。

ゲームソフトの新作販売は伸び悩み、予想を下回る実績となったが、大型タイトルの高収益率のリピート販売が、好調に販売を伸ばしたことなどが推移したことで、営業利益は予想を上回る実績となった。しかし、実際には、スクエニのゲーム部問における売上高は下がっている。次に主要タイトルの販売本数実績をみて頂きたい。

2011年3月期上期の主なタイトル

今回の販売本数実績の注目するところは二つある。

一つは海外勢、いわゆる洋ゲーは日本ではほとんど売れないところ。だが、スクエニの日本語訳への翻訳を不満にするユーザーは多かった印象が見受けられる。

つまり、海外で売れているタイトルのゲームを日本語に翻訳したときの違和感を感じてしまうということだ。これは海外ゲームをやっているプレイヤーにとって、非常に繊細な問題だ。世界観ぶちこわしのような翻訳がなされていれば、その時点でやる気を失わせてしまう。また日本と海外との表現規制の問題もある。

ファイナルファンタジーXIV（FFXIV）は「満足のいく状態ではない」

もう一つはキラータイトルであった「ファイナルファンタジーXIV」であろう。本来の知名度なら100万本は余裕で超えてもおかしくないタイトルであるが、63万本となっている。

原因は色々考えられるが、やはり、全体的な作り込み不足というのをユーザーにもたれてしまったことだ。FFXIVの快適に作動させるために、パソコンスペックを向上させるという消費ブームまで起こしたのに、いざ、サービスが開始されると、がっかりしたプレイヤーが後を絶たないというのが現実の数字だ。

FFXIVにおいては決算発表会で様々な質問が寄せられたようだが、質問者の共通の意見は「満足のいく状態ではない」ということだ。和田社長は急ピッチでこれを挽回すると宣言したのだが、失った信頼を回復させるのは難しい。また同作のPS3版を来年の3月に出す予定なのだが本当に間に合うのか。

頑張って頂きたいところであるが、スクエニに求められているのは、スクエニブランドに恥じない「ゲームクオリティ」であろう。これはどのゲームメーカーにも言えることだが、客はゲームメーカーのテストプレイヤーではないのだ。

完全に造り込んだものを市場に出せてないというのがスクエニのゲームソフトに対するユーザーの厳しい意見の一つだ。ゲームを買うなら、新作1本6千～7千円ぐらいのお金がいる。ユーザーはその価格に見合ったものを求めている。

それはいつの時代も変わらないが、要求が厳しくなっていることもある。ゲーム開発費、人件費の高騰などでゲームを作るのは年々難しくなってきているという事情はあるが、ゲームソフトの製作というビジネスをやっている以上は避けては通れない。

様々な難しい事情はあるだろうが、スクエニが維持してきた　JRPGのブランド力が崩れ去ろうとしている。だが、ユーザーの警鐘をしっかりと造る側が受け止めれば、まだまだいくらでも立て直せる。是非とも、立て直してもらいたい。



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