東京大学の馬場研究室が任天堂DSソフト「有罪×無罪」を使った実験を実施
ゲームの教育的利用という観点から毎回さまざまな研究に取り組んでいる、東京大学大学院情報学科の馬場研究室が、ゲームソフトの教育効果を、質的研究法と量的研究法の組み合わせにより測定することを目的としたワークショップ(体験型講座)を実施した。
裁判員制度を題材としたニンテンドーDSソフト『裁判員推理ゲーム 有罪×無罪』(2009年5月21日にバンダイナムコゲームスより発売)を生徒にプレイしてもらい、ゲーム中で裁判員の役割を体験することで、裁判員制度に対する理解や模擬裁判授業に対するモチベーションの問題を解消できるかどうかをテーマとしている。
当日はゲームのディレクター中西俊之氏と販売プロデューサーの田中彰一氏もワークショップを見学。「まさか今回のように高校生を対象とした研究の題材として使ってもらえるとは思ってもみなかった。元検事総長の松尾邦弘さんなどに監修していただくなどリアルさを追求し、ゲームを通じて裁判員制度とは何かを知ってもらう目的で制作したので、プレイした生徒の方々に裁判員制度に興味を持ってもらえたらうれしいです」と語った。
今回集まった生徒は約20人。事前に何のゲームをプレイするのか、その目的も聞かされてない状態である。プレイをする前に「裁判員制度について教わったことがあるか」や「裁判員として裁判に参加してみたいと思うか」などのアンケートが実施され、その後『裁判員推理ゲーム 有罪×無罪』の第1話をプレイするという流れで進められた。
馬場教授は題材にこのソフトを選んだ理由を「裁判を扱ったゲームの中で、実際の裁判員制度にもっとも近くリアルだった」と語っている。
プレイ中はほとんど私語をせず、どの生徒も真剣な表情で真面目にゲームをしていた。
(都内にある関東第一高等学校で実施)
参加した生徒にアンケートを取った結果、「ゲームとして人を裁くのは簡単だけれど、実際の裁判ではあまり関わりたくない」「色々と面倒臭さそう」「責任が重い」と、やはりゲームと現実の感性の違いが出たようだ。このアンケート等をまとめた研究の成果は、馬場研究室のホームページなどで公表されている。
人が人を裁くということの真理はどこにあるのか。永遠に解決のないテーマなのだろう。
馬場章研究室 HP
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