MMORPGにおける経済の話。お金を供給しすぎるとインフレになり、お金の価値がなくなる!
10月22日、ニコニコ生放送の番組「ドラゴンクエストX TV」において、同ゲームのディレクターの藤澤氏がアストルティアの経済について語った。その話がかなり面白いので特集している。今回はその二回目である。
MMORPGにおけるお金のバランスただ、従来のRPGはプレイヤーは一人きりなので、「一人のプレイヤーに対して」帳尻が合っていればよかったですが、MMORPGでは「すべてのプレイヤーに対して」帳尻が合っていなくてはなりません。このことが決定的な違いであり、非常にやっかいなのです。
従来のRPGでは、プレイヤーが武器屋から10,000ゴールドの武器を買えば、世界から10,000ゴールドが消えていました。
一方、MMORPGの場合は、AさんがBさんから10,000ゴールドで武器を買ったとしても、Aさんの10,000ゴールドがBさんに移動するだけで、世界からゴールドは消えませんよね。
なので、『MMORPGは、従来のRPGよりも、システムがちゃんとゴールドを消さなければならない』という性質にあるのです。(途中省略)
ですが、これらはドラゴンクエストXの世界を維持するために、どうしても必要なことだとご理解をいただきたいのです。
かなりわかりやすい例で説明してくれたので、視聴していた人は概、納得できたのはないだろうか。オンラインゲームの取引というのはプレイヤー同士がゴールドを交換するので、そのお金は消えることがなく増え続ける。実はこれがオンラインゲームでは1Mといったお金の単位を生み出した原因なのだ。
1Kは1000の単位だが1Mは100000のことである。つまり、50Mなら5000万になる。このような高額商品の装備を取引することはMMORPGではざらにある。
ドラクエクエストⅩでも最近は現時点で最強に近い武器は100万を超えることはいくつかある。だが、10Mとかでは取引はされていない。
つまり、ドラクエⅩの経済は他のMMORPGと比べて、それほどインフレ化していないのだ。実はこれ開始一年以上が経過したMMORPGではかなり珍しいことである。
大抵従来のMMORPGでは、お金の価値は無きに等しくなり、1Mや10Mでの取引や物々交換が珍しくなくなる。そして、お金では手に入らない貴重な装備品が購入できる別の通貨みたいなものが導入される。これはお金の価値がほとんどないことを示している。
では、どうしてドラクエⅩは他のMMORPGと比べてインフレが緩やかなのか。それを「システムが消すお金」が上手く働いているためだ。説明は以下の通りである。
システムがお金を消す重要性番組中でもした例え話ですが、もしもシステムがゴールドを消すことをやめてしまったら、一ヶ月も経たないうちに「汗と涙の結晶」は数万ゴールドという価格に急騰します。世界にゴールドがあふれ返るわけですから、これは大げさな話でもなんでもなく確実にそうなります。
もしもそうなってしまったら、これから新たにドラゴンクエストXを始める人が事実上ゲームにならなくなる、いわば「経済の崩壊」状態に陥ります。
そういう事態を起こさないために、システムが如何にゴールドを消すかということは、今後もちゃんと考え、実施していかなければならないのです。(今、池上彰風です)
今回で重要なのはここだ。アストルティアの経済を崩壊させないようにするには、システムがお金を吸収することが大事だと述べている。それがバザーの手数料だったり、ドルセリンだったり、リーネさんの合成だったりするわけだ。
このように、プレイヤーが持っているお金を消すシステムがいくつも作られている。それを個々のプレイヤーからすれば、どうしてドラクエⅩはシステムがお金ばかり要求するのか。カネトルティアなのかと思えるわけだ。
だが、このシステムがなければ、プレイヤーはインフレになって、たくさんのお金が蔓延する状況に陥ったとき、普通の装備が何Mもする世界で生活することになる。
どちらが将来良いのかは誰の目でも明らかだ。システムがお金を吸収して、緩いインフレを続ける方がいい。この辺りは現実の経済と何ら変わらない。プレイヤーは人間であり、MMORPGを遊んでいるプレイヤーも人間である。
中にはプレイヤーが操作していないBotを使ったやり方もあるが、そういうのは一切禁止されている。また、話は異なるがRMT対策も経済に大きく関わってくるが、それは別の機会で触れたい。
つまり、全体のバランスを考えた上でのシステムである。一方的な見方では気づかない大事なことを藤澤氏は語ってくれた。
そういう意味でも、この話は非常に面白いと思われる。ゲーム全体を作っている上で、双方向性が大事だと教えてくれたのではないだろうか。
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