ゲームコラム 消費者庁がコンプガチャを違反と判断。SNSから名作と呼べるゲームは産まれない!
5月18日付けの讀賣新聞に、例のコンプガチャ規制に対する消費者庁の公式見解が書かれている。まずは、その一部分を引用する。
携帯電話で遊べるソーシャルゲームの「コンプリート(コンプ)ガチャ」問題で、消費者庁は18日、コンプガチャは景品表示法違反の「カード合わせ」に該当するとの見解を正式に示した。7月1日以降は同法違反として罰則のある措置命令の対象とする。
「コンプガチャ」という名称を使っていなくても、例えば、ビンゴゲームのように異なる絵柄のカードを一列にそろえるとレアアイテムがもらえる「ビンゴガチャ」なども違法とする。
このように7月1日以降、コンプガチャのようなシステムは違反とされ、行政処分の対象となる。すでにGREEやモバゲーなどの主要なコンプガチャで荒稼ぎしていたSNSはコンプガチャの中止を表明している。
さて、今回の報道を受けて、SNSに喰われかけていたゲーム業界が率先して、軌道修正することを切に望んでいる。そもそも、まともな見解を発表したのは任天堂ぐらいだった。
任天堂はゲームユーザーという大切なお客様と長い良好関係を保つこと重視しているため、このようなガチャはしないと発表していた。これは決算説明会の概要で明らかになったものだ。そこだけを抜粋する。
ソーシャルゲームサイトで問題視されているガチャ課金について「構造的に射幸心を煽り、高額課金を誘発するガチャ課金型のビジネスは、仮に一時的に高い収益性が得られたとしても、お客様との関係が長続きするとは考えていないので、今後とも行うつもりはまったくない」としている。
このような姿勢を本来、家庭用のゲーム業界は貫くべきであった。違法か、違法じゃない。灰色だからやってもいい。それはゲーム業界発展において、本当にプラスとなったのか。ゲーム業界全体の利益からすれば、ソーシャルサイトのガチャ課金は明らかに不利益といえる。なぜなら、ゲームユーザの信頼を失うからだ。いくら会員数が数百万に増えようが、そのゲームをやっていて楽しい。これは素晴らしいゲームだと自慢できる作品は産まれたんだろうか。否、産まれていない。
ここ数年、代表的なゲームをいくつかプレイしたがこれが「パッケージソフト」だったら欲しいというゲームは存在しない。あくまでも遊ぶのは無料だからという理由で暇つぶしにプレイしているユーザーがほとんどだろう。その間に、海外では多額のソフト開発費をかけて、スカイリム、LAノワール、アンチャーテッドなどの名作ゲームがいくつも誕生した。
ソーシャルゲームがもたらしたのはユーザーから信頼を損なうだけではない。日本のゲーム業界のクリエイティブ(創造的、独創的)さすらなくしてしまった。表だけが違い、中身は課金ガチャで儲けるシステムばかり。そこには何もなく、プログラムさえ組めれば、誰でも作れるような作品しか産み出されていない。
世界のゲーム産業は驚くほど速く進んでいる。それなのに日本はこの数年でユーザーから反感を買うようなゲームが主流となってしまった。世界からますます置いて行かれる理由もここにある。英語がある程度出来るなら、その痛々しい現実が手に取るようにわかるだろう。
このコンプガチャは、新しい法律によって違法とされたわけじゃない。元々違反していたのだ。それは真っ当な商売とはいえない。ゲーム企業が本来やるべきことは面白い作品を作りだすことだ。決して、射幸心を煽ってユーザーからお金を吸い取ることではないはずだ。
これを機に日本のゲーム業界がまともな方向へと軌道修正をすることを望みたい。そうでなければ、日本のゲーム業界の発展はますます遅れてしまうことだろう。
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